1. 年金、どこで払うのが得?という疑問から
韓国で介護士をしているわたしです。
韓国在住の日本人の中には「日本に年金を納めている人」「韓国に年金を納めている人」「どちらも納めていない人」「どちらも納めてる人」の4パターンがあると思います。
私は韓国で働き始めた2年前から給料からの天引きで、韓国に年金を納めています。
そこで浮かんだ「日本と韓国、年金ってどっちが得?」という疑問に今日は答えていきたいと思います。
2. 年金加入対象の日韓比較
それではまず日韓の年金制度について比較することからはじめましょう。
まず年金に加入することになっている年齢や被保険者についてまとめてみます。
項目 | 日本 | 韓国 |
---|---|---|
基本構造 | 国民年金+厚生年金の二階建て | 国民年金(単一制度) |
加入対象年齢 | 20歳以上60歳未満 | 18歳以上59歳未満 |
被用者の加入 | 強制(厚生年金) | 強制(国民年金) |
自営業者の加入 | 強制(国民年金) | 強制(国民年金) |
専業主婦の扱い | 第3号被保険者として保険料免除で加入 | 任意加入(保険料自己負担) |
最低加入期間 | 10年 | 10年 |
ここで注目したいのは国民年金における専業主婦の扱いで日本には韓国にはない「第3被保険者」という枠があります。
日本では専業主婦で収入がなくても夫の扶養に入れば、国民年金が夫の給料から自動的に支払われるため、年金をもらうことができます。
しかし、韓国ではこの第3被保険者の制度がないため、自分で任意加入して保険料を支払わない限り、将来もらえる年金はゼロとなります。
私は韓国で夫の扶養に入っていたので自動的に国民年金も加入しているものだと思っていましたが、働き始めてから確認するとそれまで全く年金に加入していない状況でした。
韓国人の知人の専業主婦に聞くと「年金は加入していない」と答える人が2名いました。
あんまり多くの人に聞けてないけど、韓国人の専業主婦は年金に加入していない人が大半だと思われます。

そんな先のこと、考えてない、今を生きないと!
たまたま年金のことを質問した韓国人の知人が口をそろえて「先のことを考えていない」と言っていたので、韓国人女性の老後が若干心配になりました。
日本の年金納付は国民の義務であり、ある一定の年齢を過ぎたら問答無用で請求されますが、
韓国は無職や専業主婦、フリーランスの場合、任意加入です。
昔、日本のバイト仲間が年金の督促状をずっと無視してたら車を差し押さえられたと聞いて驚きました。
それに対して韓国政府は定職についてない人の年金に関しては、任意で加入しない限り放置状態です。
これが老後、吉と出るか凶と出るか・・・。
日韓の国民年金比較、保険料・受給年齢・特徴の比較
つぎに日韓の国民年金保険料、受給額、特徴について書いていきます。
日本の国民年金制度(金額・受給年齢・特徴)
●保険料
・月額 約16980円(2025年度)
・20~60歳まで40年間納めた場合、満額受給可能
●受給額(2025年)
・40年満額納めた場合、月額約66000円の受給
●特徴
・保険料定額制(収入に関係なく一律)
・所得が低い人には「免除制度」「追納制度」あり
韓国の国民年金制度(金額・受給年齢・特徴)
●保険料
・月収の9%
(雇用者は事業主と半額負担、自営業者は全額負担)
●受給額(人によって異なる)
・納付期間・所得によって異なるが平均的には月額50万ウォンから100万ウォン程度
・長期納付・高所得者ほど受給額が増える仕組み
●特徴
・所得比例型:収入が高ければ年金も増えていく
・年金負担の不安が日本以上に取り沙汰されている
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ここで注目したいのが、日本の保険料は稼ぎにかかわらず問答無用で定額であるのに対し、
韓国の保険料は収入の9%と労働者の稼ぎが加味された保険料であるという点です。
私は韓国の最低賃金で働いていますが、給料から毎月天引きされる国民年金保険料は88690ウォン(2025年度)
私は勤労者なので会社が半額年金を負担してくれます。
よって韓国政府に納めている毎月の納付額は177380ウォンです。
(日本も企業に属している場合、半額は会社が保険料を払ってくれますよね。)
韓国の年金定期便によると、この調子で年金がもらえる満65歳まで働くと(私の場合、あと23年ほど)毎月の年金受給額は591000ウォンになります。

私が65歳になるまであと23年残っているのですが、1か月88690ウォン程度の納付で65歳から死ぬまで591000ウォンもらえるなら結構割がいいと思いませんか?

日本の年金は40年間、満額納めても66000円の支給なので。
韓国の年金制度は日本と違い収入によって保険料が調整されています。
低収入の人ほど少なく納めて得をする制度なので、私のような最低賃金労働者は頭を下げてでも是非とも加入させて頂きたいのです。
韓国の年金の問題点
ここまで「韓国の年金けっこういいじゃん?」とあおってきましたが、韓国の年金は日本以上に財政的懸念が取り沙汰されています。
その要因としては
①少子高齢化
②年金積立金の枯渇リスク
③制度改革の遅延の 3つがあげられます。
一言でまとめると、これからますます少子高齢化になる韓国は「もらえる人が増えすぎて」「払う人が少なすぎる」構造になっていて、
政治的な理由で制度改革もできず、2055年ごろには年金基金が完全に枯渇する見込みです。

私が年金受給を申請できるのが2051年なのに、
その4年後に年金枯渇とかギャグですか??
「年金枯渇で4年しか年金が受給できない!」
その発表がされた日には、金属バットを片手に「私の年金を返せ」と書いたハチマキ巻いて、デモに繰り出したいと思います。
韓国で百姓一揆をおこしてやるよ!
まとめ
日本も韓国もこれからますます少子高齢化が進みます。
どちらの国でも年金の受給年齢が遅くなり、受給額が減ったりと現在の高齢者同様に利益を享受することはできなくなるかもしれません。
そんな不安はありますか、私は韓国に年金を納め続けたいと思います。
なぜなら、既に年金を受給している私の同僚の韓国人(60代、70代)たちはこう言っているからです。

ほんとに貰えるのかなと疑ってたけど、納めてよかった~
信じる者は救われるってやつです。
年金を信じるかどうかは、あなた次第。
私は韓国で年金がもらえることを祈りつつ、それとは別に個人年金を作ることにも日々邁進していきます。
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